7月の映画鑑賞記

比嘉ブラック社長

2010年07月16日 10:38

1.「17歳の肖像」(2008年.イギリス)
舞台は1961年。ロンドン郊外の静かな街。16歳の女子高校生のジェニーはオックスフォード大学を目指す優等生。ところが、ラテン語が大の苦手。そしてチェロも上手く弾けるようにならねば……。
ある日、大きなチェロを抱えて家に帰る途中、急に雨が降り出した。そこに、車で通りがかり声を掛けたのが倍も年の離れたオジさん。躊躇する彼女に、チェロが濡れるとダメだと誘う。この詐欺師め。
しかし、この男、ジェニーの両親をも欺き、オックスフォード、そして憧れのパリ旅行へと誘い出す。パリで17才の誕生日を迎え、彼女は17才で大人になると決めていた。しかし、その後、ある事実を偶然知りショックを受ける。両親も又嘆く。彼女はオックスフォードを諦め、高校を退学したばかりだったのだ。さて、ジェニーはどうするのだろうか? ジェニーを演ずるのが、これが映画初主演というキャリー・マリガン。彼女なしにこの映画は成り立つまいと思う程新鮮。その生き様、行動がさわやか。その後、彼女はジャーナリストになったとの事。その回想録である。
ところで、この映画を見るとクィーンズ・イングリッシュの美しさが分りますぞ。
★★★★

2.「必死剣鳥刺し」
えっ、藤沢周平の隠し剣シリーズにこの作品があったとは知らなんだ。鳥刺し? 変なタイトルだと思った。
勿論、舞台は海坂藩。藩主は妾に夢中で国が乱れて行く。そんな時、主人公三左衛門は最愛の妻を病で失う。彼は、己の死に場所を決意し能の舞台の後、城中で藩主の愛妾を刺し殺す。この映画、小鼓と笛の音の能舞台で始まる。その意図は劇中に解る。当然、三左衛門は打ち首かと思うが、しかし、一年の閉門の処分のみ。何故に? そして、ラストの凄絶な切り合いの前に、三左衛門を生かして来た家老の意図を観客も理解できる。哀しい武士の宿命。10数分の近年まれに見る凄絶な殺陣のラストに「鳥刺し」を見る。しかし、その前に、己を慕っていた亡き妻の姪を意を決して抱く。そして彼女は三左衛門の死も知らずに産まれた赤ん坊を抱いて毎日彼を待つ。オジサン達は眼に涙がうるむ。
女性はさておいて世のオジサン達には★★★★★

3.「アデル/ファラオと復活の秘薬」
時は1911年。冒頭は女版インディー・ジョーンズかと思うエジプト探検。そして、アデルはパリの自宅に戻る。双子の妹はベッドに寝たまま。ギョッとする。口はきかず、大きな眼を開いたまま、ベッドにもたれている。そして、その額にはピンが突き刺さっている。何故、アデルはエジプトに行ったのか? 実は5,000年前のファラオ(王)の秘薬を捜せば妹の意識を取り戻せると信じ、それを捜していたのだ。まぁ、荒唐無稽な話ではあるがアデルのきれいな裸も見れるし楽しむ分には良い。
★★★

4.「アイガー北壁」
時はベルリン・オリンピック開幕直前の1936年度。スイスのアイガー山。ヨーロッパの最後の難所と言われていた。そこで、ヒットラーのナチス政府は初めての登頂者にはオリンピックの金メダルをあげると約束する。ヨーロッパ各地から強者の登山家が集まる。ある晩、トニーとビアンディ(ドイツ)は北壁へ登り始める。その後をオーストリアの二人が追う。ナチスドイツのオーストリア併合の事情を踏まえて心情は複雑。ドイツ隊員に負傷が・・・。そして、急な悪天候、結果は失敗。実話であるゆえ最初から分かっている。しかし、どういう風に撮影したのだろう。ハリウッドと違ってCGも使わず生身の怠だ。ドイツ人なのだから。ドイツ・オーストリア・スイス合作/127分。
★★★★

5.「プレデターズ」
今から20年程前のアーノルド・シュワルツネッガー(現L・A知事)のヒット作。あれは中々面白かった。というので気軽に入ったが最悪。何が、プレデターの惑星に最強の地球人が・・・。アホ。
★★

6.「借りぐらしのアリエッティ」
お待ちかねのジブリ映画。今回は宮崎駿は物語と脚本、監督は今迄作画を担当していた新人を起用との事。物語は屋敷(軽井沢か?)の床下に住む小人の一家と心臓が悪く静養に来た少年の物語。小人の女の子がアリエッティ。14才になったある日、お父さんと共に狩に出る。と言っても屋敷内の食物や必要な物を住人にバレないように盗む事である。少年の名前はシュウ君。お手伝いはハルさん。何故、女の子の名はアリエッティ?スパゲッティでもあるまいし。日本なら、陽子とか花子にしたらと言いたい。絵はジブリプロだから宮崎駿と同じ。Y嬢はこれを見て、長野の両親を思い出しホームシックにかかり、僕に八つ当り。とんだトバッチリ。
★★★

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子供の頃から映画大好き人間。業界では知る人ぞ知る。
中3の高校受験の時は、月に50本を見た事も。今でも年に5~60回は映画館に足を運ぶ。

【評価】
 ★★★★★ 傑作。見逃すと後悔するぞ!
 ★★★★   お勧め!映画館に走ろう!
 ★★★    それなりに面白い。
 ★★      お暇ならどうぞ。
 ★       金と時間のムダ。

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