12月の映画鑑賞記
1.「クレイジー・ハート」
男はカントリー・ミュージックの元大スター。今は落ちぶれてドサ廻り。そして酒に溺れる日々。ある町の酒場で歌っていると地元の女性記者からインタビューの依頼が…。これをきっかけに親しくなる。シングルマザーである彼女の1人息子も彼になついてくる。しかし、ある日息子を連れてショッピングセンターに出掛けるがバーで飲んでいるうちに子供を見失う。それが原因で彼女は去って行く。その後男は酒をやめ、今やスーパースターの元弟子に曲を頼まれそれが大ヒット。本人も前座で活躍し1年後にコンサートで再会する。しかし彼女は既に結婚していた。たった1年で別の男と結婚するとは…。かつて名声を誇った初老の男が自らの人生をやり直す映画だがこれ、日本人には受けないネ。ジェフ・ブリッジスはこれでアカデミー主演男優賞。
★★★
2.「瞳の奥の秘密」アルゼンチン/2009年
25年前、ブエノスアイレスで若く美しい妻が自宅で強姦され殺される。迷宮入りの事件として捜査は打ち切られる。しかし、刑事裁判所に勤める主人公の男は、殺された妻の銀行員の夫が毎日仕事を終えて駅で犯人を捜している姿に心を動かされ、再び相棒と捜査に乗り出し遂に犯人を捕まえる。しかし、政治的な判断で何と政府がテロ対策に雇うのである。何という腐敗。これが中南米の現実か。あれから25年がたち男は引退後、この事件を題材に小説を書き始める。そして当時の女上司を訪ねる。彼女は大学卒のエリートで二人の間にはお互いの秘めた想いがあった。男は最後に銀行員の夫を田舎に訪ねるが…。想定外の衝動的なラストに驚かされた。ここでタイトルの意味に気付く。瞳の奥には「執念」があったのだ。これで、終わりかと思いきや本当のラストシーンの僅か1分。愛の物語に感動する。
★★★★★
3.「武士の家計簿」
加賀藩前田家に仕える代々算用者(会計係)の猪山家。見栄を張って生活している父母同居の家計を立て直す為、嫁の協力を得て家財・骨董品を売り、借金を減らし質素な生活を送る。我が子の祝の会席に祝膳の鯉を描いた絵で済ますのには笑う。後に藩主に重用され藩の財政建て直しにも尽力する。そんな父を嫌った息子だが明治になると大村益次郎に算用の腕を見込まれ新政府に登用される。刀を抜かない時代劇は初めてだなァー。主役の堺雅人、嫁の仲間由紀恵、両親の中村雅俊に松坂慶子そして祖母の草笛光子と皆イイ味を出して面白い。監督の森田芳光は職人だね。
★★★★
4.「ロビン・フッド」
ロビン・フッドは実在しない日本の鞍馬天狗のように。しかし、あたかも実在したかの様に思えるのはそれ程親しまれている証拠か。さて、ロビン・フッドが森で悪代官と戦う事になるその前の物語がこれ。弓の名手であるロビン・フッドを演ずる為に主役のラッセル・クロウは特訓を重ねたそうだが、ラスト近くでその技を見せる。ハリウッドスターはそういう点はたいしたものだ。ケイト・ブランシェットもしっかりとした演技でこの映画を支える。しかし、驚いたのはその義父役のスウェーデンの名優マックス・フォン・シドー。あのエクソシストの老神父役!僕がエクソシストを見たのは36年前にロンドンで。もう90以上にもなるはずだがその存在感たるや凄い。それだけでもこの映画は価値がある。監督のリドリー・スコットの戦闘シーンは大迫力。
★★★★
5.「最後の忠臣蔵」
日本人なら誰もが知っている忠臣蔵。実は討入り前に二人の男が大石内蔵助から特命を帯びていた。吉右衛門(佐藤浩市)は討入りした赤穂浪士の残された家族を尋ね生活を援助せよと。そして孫左衛門(役所広司)は京都山科で生まれる隠し子を無事育てあげよとの命を受ける。誰にも他言してはならぬと。四十七士が武士の鏡と言われる中、二人には逃亡者の汚名が付きまとう。孫左衛門が育てた可音(桜庭ななみ)が16才になる。二人で上方人形浄瑠璃の芝居見物に行った時竹本座で豪商の息子に一目惚れされる。しかし、可音は実は50才手前の孫左衛門を想い続けているのだ。ただ与えられた使命の為に己を殺し人の為に生きる事ができるのか?武士の忠義とは?今、日本人が失った心がここにはある。京都の四季を背景に孫左衛門と可音が住む古い茅葺きの住居も渋い。二人の想いは劇中の人形浄瑠璃の心中話で我々に伝えられる。可音の嫁入りの時、旧赤穂藩の面々が提灯片手に馳せ存じるのもおかしくもあり涙も出る。そしてラストシーン。この映画のタイトルの意味が分る。池宮彰一郎の原作が良い。今年後半から続いた時代劇映画の中でこれが一番お勧め。製作はハリウッドのワーナー・ブラザーズ。
★★★★おじさんには+α
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子供の頃から映画大好き人間。業界では知る人ぞ知る。
中3の高校受験の時は、月に50本を見た事も。今でも年に5~60回は映画館に足を運ぶ。
【評価】
★★★★★ 傑作。見逃すと後悔するぞ!
★★★★ お勧め!映画館に走ろう!
★★★ それなりに面白い。
★★ お暇ならどうぞ。
★ 金と時間のムダ。
男はカントリー・ミュージックの元大スター。今は落ちぶれてドサ廻り。そして酒に溺れる日々。ある町の酒場で歌っていると地元の女性記者からインタビューの依頼が…。これをきっかけに親しくなる。シングルマザーである彼女の1人息子も彼になついてくる。しかし、ある日息子を連れてショッピングセンターに出掛けるがバーで飲んでいるうちに子供を見失う。それが原因で彼女は去って行く。その後男は酒をやめ、今やスーパースターの元弟子に曲を頼まれそれが大ヒット。本人も前座で活躍し1年後にコンサートで再会する。しかし彼女は既に結婚していた。たった1年で別の男と結婚するとは…。かつて名声を誇った初老の男が自らの人生をやり直す映画だがこれ、日本人には受けないネ。ジェフ・ブリッジスはこれでアカデミー主演男優賞。
★★★
2.「瞳の奥の秘密」アルゼンチン/2009年
25年前、ブエノスアイレスで若く美しい妻が自宅で強姦され殺される。迷宮入りの事件として捜査は打ち切られる。しかし、刑事裁判所に勤める主人公の男は、殺された妻の銀行員の夫が毎日仕事を終えて駅で犯人を捜している姿に心を動かされ、再び相棒と捜査に乗り出し遂に犯人を捕まえる。しかし、政治的な判断で何と政府がテロ対策に雇うのである。何という腐敗。これが中南米の現実か。あれから25年がたち男は引退後、この事件を題材に小説を書き始める。そして当時の女上司を訪ねる。彼女は大学卒のエリートで二人の間にはお互いの秘めた想いがあった。男は最後に銀行員の夫を田舎に訪ねるが…。想定外の衝動的なラストに驚かされた。ここでタイトルの意味に気付く。瞳の奥には「執念」があったのだ。これで、終わりかと思いきや本当のラストシーンの僅か1分。愛の物語に感動する。
★★★★★
3.「武士の家計簿」
加賀藩前田家に仕える代々算用者(会計係)の猪山家。見栄を張って生活している父母同居の家計を立て直す為、嫁の協力を得て家財・骨董品を売り、借金を減らし質素な生活を送る。我が子の祝の会席に祝膳の鯉を描いた絵で済ますのには笑う。後に藩主に重用され藩の財政建て直しにも尽力する。そんな父を嫌った息子だが明治になると大村益次郎に算用の腕を見込まれ新政府に登用される。刀を抜かない時代劇は初めてだなァー。主役の堺雅人、嫁の仲間由紀恵、両親の中村雅俊に松坂慶子そして祖母の草笛光子と皆イイ味を出して面白い。監督の森田芳光は職人だね。
★★★★
4.「ロビン・フッド」
ロビン・フッドは実在しない日本の鞍馬天狗のように。しかし、あたかも実在したかの様に思えるのはそれ程親しまれている証拠か。さて、ロビン・フッドが森で悪代官と戦う事になるその前の物語がこれ。弓の名手であるロビン・フッドを演ずる為に主役のラッセル・クロウは特訓を重ねたそうだが、ラスト近くでその技を見せる。ハリウッドスターはそういう点はたいしたものだ。ケイト・ブランシェットもしっかりとした演技でこの映画を支える。しかし、驚いたのはその義父役のスウェーデンの名優マックス・フォン・シドー。あのエクソシストの老神父役!僕がエクソシストを見たのは36年前にロンドンで。もう90以上にもなるはずだがその存在感たるや凄い。それだけでもこの映画は価値がある。監督のリドリー・スコットの戦闘シーンは大迫力。
★★★★
5.「最後の忠臣蔵」
日本人なら誰もが知っている忠臣蔵。実は討入り前に二人の男が大石内蔵助から特命を帯びていた。吉右衛門(佐藤浩市)は討入りした赤穂浪士の残された家族を尋ね生活を援助せよと。そして孫左衛門(役所広司)は京都山科で生まれる隠し子を無事育てあげよとの命を受ける。誰にも他言してはならぬと。四十七士が武士の鏡と言われる中、二人には逃亡者の汚名が付きまとう。孫左衛門が育てた可音(桜庭ななみ)が16才になる。二人で上方人形浄瑠璃の芝居見物に行った時竹本座で豪商の息子に一目惚れされる。しかし、可音は実は50才手前の孫左衛門を想い続けているのだ。ただ与えられた使命の為に己を殺し人の為に生きる事ができるのか?武士の忠義とは?今、日本人が失った心がここにはある。京都の四季を背景に孫左衛門と可音が住む古い茅葺きの住居も渋い。二人の想いは劇中の人形浄瑠璃の心中話で我々に伝えられる。可音の嫁入りの時、旧赤穂藩の面々が提灯片手に馳せ存じるのもおかしくもあり涙も出る。そしてラストシーン。この映画のタイトルの意味が分る。池宮彰一郎の原作が良い。今年後半から続いた時代劇映画の中でこれが一番お勧め。製作はハリウッドのワーナー・ブラザーズ。
★★★★おじさんには+α
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子供の頃から映画大好き人間。業界では知る人ぞ知る。
中3の高校受験の時は、月に50本を見た事も。今でも年に5~60回は映画館に足を運ぶ。
【評価】
★★★★★ 傑作。見逃すと後悔するぞ!
★★★★ お勧め!映画館に走ろう!
★★★ それなりに面白い。
★★ お暇ならどうぞ。
★ 金と時間のムダ。
2010年12月28日 14:15