読書雑感 2016年
(2016年.12月)
15.「福祉施設投資法」大谷光弘:著(セルバ出版)
12月の船井総研の研究会総会で、メンバーの大谷社長(愛知県)が出版したばかりの本をドサッと持って来たので、早速購入して読んだ。「障害者グループホーム」の建築を土地活用の方法として提案した成功事例が満載。
若い社長だが、学ぶことが多い。
2016年(平成28年)8月
13.「キリンビール高知支店の奇跡」田村潤:著(講談社新書)
著者は元キリンビール株式会社副社長の田村潤氏。
日本経済新聞に度々大きく広告が載る。10万部以上も売れ、結構なベストセラーになっているので、読んでみた。
1950年生まれは小生と同年生。
その昔、ビールと言えばキリンビールで1972年からはシェア60%という絶対王者で、キリンビールの営業マンは酒屋からの注文をいかに量を少なくして貰うかという商売。しかし、1989年にアサヒビールが「スーパードライ」を発売すると、2001年にシェア40%を切り、トップの座をアサヒビールに明け渡す。
そんな時1995年に左遷で、成績が最低であった高知県に45才で支店長として赴任する。そして、2年半後に高知県ではアサヒビールがトップを奪い返すのだ。打った手は「訪問数」を増やす。ベテラン社員が月に10店舗位しか飲食店を廻らなかったそうだが、入社2年目のある営業マンは1ヵ月に200軒訪問する目標を宣言し、実行したそうだ。
その後、四国4県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に副社長兼営業本部長として、全国の営業の指導を執り、2009年に久しぶりにキリンビールが首位を奪回した。小さな市場ならまだしも、成熟商品であるビールの世界で、こういう事ができるものかと一頁毎に驚いて読んだ。
何しろ、45才(1995年)の時左遷で一番成績の悪い高知県に行き、辞めようかと3ヵ月悩んだ時期もあったそうだ。
とにかく訪問すること。勝利の秘訣だ。
2016年(平成28年)6月
12.「やってはいけない相続税対策」大村大次郎:著(小学館新書)
著者は元国税調査官。6刷目というから結構売れているのだろう。新書なので手軽に読めはするが、しかし何と言っても税への正しい知識を書いているので、読んでハイオシマイという訳にはいかない。きちんと、理解しなければ実務には使えない。ある程度は知っている事ばかりだが、文章と一緒に図解がもっとあれば分かり易かったかと。
11.「狭小邸宅」新庄 耕:著(集英社文庫)
だいぶ前に購入して、6月22日の那覇-羽田の機内で読み終えた。
大学卒業を控えても就活をしなった松尾がなんとなく就職したのが都内で戸建て分譲の中堅不動産会社。
入社3か月内に同期の半数以上が会社を去る。売ること以外に何も評価しない会社。過酷な歩合給。
売らなければ朝礼で罵倒される。人権などそこには無い。松尾は4か月全く売れず、課長から営業に向いてないから会社を辞めろと通告されるが、1か月の猶予を貰う。そこで、会社のお荷物といわれた、蒲田の狭小住宅(ペンシルハウス)を運よく売る事が出来た。課長の指導もあり、徐々に営業として実績を残していく。
しかし、それとは裏腹に彼を支えてきた彼女に対する態度が冷え、彼女は去っていく。
営業として力を発揮しても、客を殺すという表現を使う程ノルマ至上主義。ブラック企業どころではない。
確かに昔の販売系不動産会社はそうであった。
しかし、この本は2012年に「すばる文学賞」受賞した。
今でもそうなんだろうなァー。
10.「さらばカリスマ」日本経済新聞社:編
今年の4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOがグループ全ての役職から退任すると発表した。日本にコンビニエンスストアという市場を切り開き、その後 本家(アメリカ)をも救済する。突然の引退宣言の背景にはセブンイレブンの社長である井阪隆一を退任させようとしたが、あろうことか3月に設置したばかりの指名報酬委のメンバーである一橋大学院特任教授の伊藤邦雄の経営の実態を知らない学者の暗躍があった事は当時の新聞報道でも予感したが、この本を読んで確信した。しかし、仲井眞前知事の時、安里副知事(故人)と、イトーヨーカ堂のY専務が、セブン・アイグループが沖縄県産品を売り出そうと調印を結んだ。小生の友人がY専務と親友で、二人が居る会席に東京出張中の小生にたまたま電話が来て新宿の料亭で紹介された事がある。その時に、鈴木会長の話を色々聞いていたので経営者としての凄さを理解して、本も数冊読んだ。しかし、83才になるのだから、せめて1~2年前に潔く引退して欲しかったなァー。
9.「捨てられる銀行」橋本卓典:著(講談社新書)
タイトルが良い。中小企業を苦しめた“金融検査マニュアル”を廃止するという。2015年7月に就任した金融庁の森信親長官の方針。前身の金融監督庁が設立された1998年以降、地域金融行政方針は常に不良債権処理優先で、金融検査マニュアルで企業の格付けを厳格に査定し、それに基づき融資条件が変わり、金融機関には貸倒れ引当金の処理を強いたのが今迄であった。
それを、森長官は、地域から必要とされる銀行を目指せと大転換の方針を打ち出し、その事例の金融機関が紹介されている。顧客(地域)に、金融庁に見捨てられると、銀行は生き残れるのか?人口増が続く沖縄だが、10年後は果たしてどうなっているのか興味深い。
中々面白い本である。
2016年(平成28年)5月
8.「儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい」井上和弘:著(ダイヤモンド社)
昨年1月に初版された本だが、以前一倉OB会の中村会長(大阪)の本社訪問時にこういう本がアンのやと言っていたのを、最近の日経新聞の広告に載っていたので思い出し電話を入れた。24(火)~28(土)迄出張に行ったのだが誕生日(25日)に合わせて届いていた。
さて、税務署や銀行が驚きそうなタイトルだが、本当に赤字を続けると会社は存続できない。
意図することは分かる。まあ、井上先生のセミナーを以前東京で受講した事があったが、元気な先生だ。
7.「X(住宅会社関連本)」:○□△著(○○出版)
新聞広告を見て取り寄せたのだが、地方都市でのホームビルダー(工務店)の経営戦略を社長が語っている。
住宅を売る前に土地の手当が大切だと説く。確かに、弊社の顧客も15年前とは様変わりで、30代の子育て世代が多い。彼らは土地なし客なので、時間がかかるのは事実だ・・・。さてさて・・・。
6.「ホンダ神話 <Ⅱ>合従連衡の狭間で」佐藤正明:著(文春文庫)
(Ⅰ)は529ページもあったが(Ⅱ)は373ページ。
自宅で夕方から読み始め、その翌朝起きて再び読み丸一日で一気に読み終えた。
平成2年、4代目社長に入交ではなく、何故暗い男川本に決まったのか当時は理解できなかったが、この本を読みやっと舞台裏が理解できた。その1年後に入交が川本に追い出されセガに入ったのは今でも鮮明に覚えているが、その裏では米GMの上級副社長への就任が決まりかけていたとは。入交自身の決断力の無さではあるが、友人であったボストンコンサルティング社長の堀紘一という男。この男の悪魔のささやきを無視すれば良かったものを・・・。結局セガを去る事になった入交はしかし、生き変える。
他のホンダの役員達は隠遁生活だから人生は分からない。
ホンダの経営手法は「語り継げても受け継げない経営」だから、さらなる発展を遂げるには、自分たちの手で新しい経営手法を編み出さなければならない。
藤澤曰く、「松明(たいまつ)は自分の手で」。
しかし、戦略家の藤澤に技術の天才本田。私達は二人合わせて一人前というのが口癖だったというが、あって25年で世界のホンダに育て上げ、見事に引退劇を演出した藤澤、それに従ったホンダ。
男の生き様だ。
2016年(平成28年)4月
5.「ホンダ神話 <Ⅰ>本田宗一郎と藤沢武夫」佐藤正明:著(文春文庫)
僕は「ホンダ」と「ソニー」という会社が好きだ。
特にホンダの藤沢武夫という人の経営術に心酔する。
この本が1995年に単行本で出版され、その後2000年に文庫本で出版されたとは知らなかった。
ホンダ物の新聞の書評には目を通していたハズだが・・・。
さてこの「I」だけでも529ページもある。自宅で夜、数頁ずつ2-3日読んだことがあったが4月16日の経営計画発表会を終えた翌週の深夜3時過ぎに眼を覚ました時、朝10時過ぎ迄、一気に読み、その後出社した。
昭和24年、水泳の古橋廣之進が全米水上選手権で世界新記録を連発し、湯川秀樹がノーベル物理賞を受賞したこの年、二人は知人の紹介で出会い、藤沢が本田技研工業に25%の資本参加して、共同経営をスタートさせた。
世間では技術の天才本田宗一郎は有名だが、藤沢の経営に関してホンダの従業員以外は、銀行、取引先位にしか名前は知られていなかった。
それは藤沢という男の戦略であり、凄さであった。しかし、藤沢本人は自分のような理詰めの男には社長は務まらない。本田のような欠点がある男がふさわしいのだと言う。
藤沢が仕掛けて二人で共に引退したのが昭和48年10月の株主総会。今でも語り継がれる創業者の見事な引き際だ。
CVCCエンジンの秘話や、後継者達はサラリーマンではあるが、その仕事に対する姿勢。単行本が出たのが1995年だから20年前だ。あの時、この本を読んでいれば僕も、T&Tも変わっていたに違いないと思われる本だ。<Ⅱ>は注文中。
4.「『理』と『情』の狭間」磯山友幸:著(日経BP)
大塚家具の経営権を巡り、創業者である父・会長と長女・社長の争いは日経新聞でも、テレビのワイドショーでも連日取り上げられ、結局、株主総会で長女・社長側の勝ちとなった。しかし、本日(4月12日)の日経で、一族の資産管理会社に15憶円分の社債の償還を求めた訴訟で父・会長側の勝訴判決を下した。
親子の争いがまだまだ続く。
この本は、どの家族経営でも起きる問題として、跡継ぎ、経営と資本の分離、「家業」と「公器」の区別等に欧米の「ファミリー企業」をも実例に出し比較する。
コーポレートガバナンス(法令順守)と言うと難しいが親子がこうも争えるものか・・・。
2016年(平成28年)2月
3.「天才」石原慎太郎:著(幻冬舎)
芥川賞作家で、政治家として世間に知られる石原慎太郎が田中角栄の伝記を書いた。田中角栄を稀有な政治家と評価する小生としては、書店で手に取り迷わず購入し、深夜一気に読んだ。
先ず、驚いたのが田中角栄本人の一人称で物語が進むことだ。まるで、大川隆法(幸福の科学)の霊言集ではないか。
しかし、読み進むにつれ、田中角栄の金銭感覚と廻りの人間を惹きこむ、その人間的魅力の一端が分かる。しかし、あのロッキード事件とは田中角栄を陥れる為のアメリカの策略と、当時から一部で言われていたが…。
時のまさかの総理大臣に法務大臣の巡り合わせが、流石にその時に角栄の運が尽きたのか…。
2.「人生を面白くする本物の教養」出口治朗:著(幻冬舎新書)
著者は、日本生命を退職して、インターネットで生命保険を販売する「ライフネット生命保険」の代表取締役会長兼CEOである。
日本のリーダー層は勉強が足りず、世界でも教養が低いと主張する。本人の勉強の経験を謙虚に語るが、ことばの端々に得意げな・・・!?
しかし、「英語はあなたの人生を変える」には100%肯ける。
それと、「人に会う」というのも僕の「人儲け」と同じことを語っているので共感。
しかし、美術館巡りとか、シェークスピアとか良く勉強をしていること。
1.「社長、御社の「経営理念」が会社を潰す!」白潟敏郎:著(中経出版)
タイトルで逆のことを言いそれで本を売るというやり方は、マーケティングの手法のひとつだが、この本もそうだ。松下幸之助や、ドラッカー、稲盛和夫らが理念の大切さを繰り返し説いている。内容はたわいも無いが、ひとつ役立つことはあった。
まぁ、タイトルに踊らされた僕は策にハマったか。
15.「福祉施設投資法」大谷光弘:著(セルバ出版)
12月の船井総研の研究会総会で、メンバーの大谷社長(愛知県)が出版したばかりの本をドサッと持って来たので、早速購入して読んだ。「障害者グループホーム」の建築を土地活用の方法として提案した成功事例が満載。
若い社長だが、学ぶことが多い。
2016年(平成28年)8月
13.「キリンビール高知支店の奇跡」田村潤:著(講談社新書)
著者は元キリンビール株式会社副社長の田村潤氏。
日本経済新聞に度々大きく広告が載る。10万部以上も売れ、結構なベストセラーになっているので、読んでみた。
1950年生まれは小生と同年生。
その昔、ビールと言えばキリンビールで1972年からはシェア60%という絶対王者で、キリンビールの営業マンは酒屋からの注文をいかに量を少なくして貰うかという商売。しかし、1989年にアサヒビールが「スーパードライ」を発売すると、2001年にシェア40%を切り、トップの座をアサヒビールに明け渡す。
そんな時1995年に左遷で、成績が最低であった高知県に45才で支店長として赴任する。そして、2年半後に高知県ではアサヒビールがトップを奪い返すのだ。打った手は「訪問数」を増やす。ベテラン社員が月に10店舗位しか飲食店を廻らなかったそうだが、入社2年目のある営業マンは1ヵ月に200軒訪問する目標を宣言し、実行したそうだ。
その後、四国4県の地区本部長、東海地区本部長を経て、2007年に副社長兼営業本部長として、全国の営業の指導を執り、2009年に久しぶりにキリンビールが首位を奪回した。小さな市場ならまだしも、成熟商品であるビールの世界で、こういう事ができるものかと一頁毎に驚いて読んだ。
何しろ、45才(1995年)の時左遷で一番成績の悪い高知県に行き、辞めようかと3ヵ月悩んだ時期もあったそうだ。
とにかく訪問すること。勝利の秘訣だ。
2016年(平成28年)6月
12.「やってはいけない相続税対策」大村大次郎:著(小学館新書)
著者は元国税調査官。6刷目というから結構売れているのだろう。新書なので手軽に読めはするが、しかし何と言っても税への正しい知識を書いているので、読んでハイオシマイという訳にはいかない。きちんと、理解しなければ実務には使えない。ある程度は知っている事ばかりだが、文章と一緒に図解がもっとあれば分かり易かったかと。
11.「狭小邸宅」新庄 耕:著(集英社文庫)
だいぶ前に購入して、6月22日の那覇-羽田の機内で読み終えた。
大学卒業を控えても就活をしなった松尾がなんとなく就職したのが都内で戸建て分譲の中堅不動産会社。
入社3か月内に同期の半数以上が会社を去る。売ること以外に何も評価しない会社。過酷な歩合給。
売らなければ朝礼で罵倒される。人権などそこには無い。松尾は4か月全く売れず、課長から営業に向いてないから会社を辞めろと通告されるが、1か月の猶予を貰う。そこで、会社のお荷物といわれた、蒲田の狭小住宅(ペンシルハウス)を運よく売る事が出来た。課長の指導もあり、徐々に営業として実績を残していく。
しかし、それとは裏腹に彼を支えてきた彼女に対する態度が冷え、彼女は去っていく。
営業として力を発揮しても、客を殺すという表現を使う程ノルマ至上主義。ブラック企業どころではない。
確かに昔の販売系不動産会社はそうであった。
しかし、この本は2012年に「すばる文学賞」受賞した。
今でもそうなんだろうなァー。
10.「さらばカリスマ」日本経済新聞社:編
今年の4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOがグループ全ての役職から退任すると発表した。日本にコンビニエンスストアという市場を切り開き、その後 本家(アメリカ)をも救済する。突然の引退宣言の背景にはセブンイレブンの社長である井阪隆一を退任させようとしたが、あろうことか3月に設置したばかりの指名報酬委のメンバーである一橋大学院特任教授の伊藤邦雄の経営の実態を知らない学者の暗躍があった事は当時の新聞報道でも予感したが、この本を読んで確信した。しかし、仲井眞前知事の時、安里副知事(故人)と、イトーヨーカ堂のY専務が、セブン・アイグループが沖縄県産品を売り出そうと調印を結んだ。小生の友人がY専務と親友で、二人が居る会席に東京出張中の小生にたまたま電話が来て新宿の料亭で紹介された事がある。その時に、鈴木会長の話を色々聞いていたので経営者としての凄さを理解して、本も数冊読んだ。しかし、83才になるのだから、せめて1~2年前に潔く引退して欲しかったなァー。
9.「捨てられる銀行」橋本卓典:著(講談社新書)
タイトルが良い。中小企業を苦しめた“金融検査マニュアル”を廃止するという。2015年7月に就任した金融庁の森信親長官の方針。前身の金融監督庁が設立された1998年以降、地域金融行政方針は常に不良債権処理優先で、金融検査マニュアルで企業の格付けを厳格に査定し、それに基づき融資条件が変わり、金融機関には貸倒れ引当金の処理を強いたのが今迄であった。
それを、森長官は、地域から必要とされる銀行を目指せと大転換の方針を打ち出し、その事例の金融機関が紹介されている。顧客(地域)に、金融庁に見捨てられると、銀行は生き残れるのか?人口増が続く沖縄だが、10年後は果たしてどうなっているのか興味深い。
中々面白い本である。
2016年(平成28年)5月
8.「儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい」井上和弘:著(ダイヤモンド社)
昨年1月に初版された本だが、以前一倉OB会の中村会長(大阪)の本社訪問時にこういう本がアンのやと言っていたのを、最近の日経新聞の広告に載っていたので思い出し電話を入れた。24(火)~28(土)迄出張に行ったのだが誕生日(25日)に合わせて届いていた。
さて、税務署や銀行が驚きそうなタイトルだが、本当に赤字を続けると会社は存続できない。
意図することは分かる。まあ、井上先生のセミナーを以前東京で受講した事があったが、元気な先生だ。
7.「X(住宅会社関連本)」:○□△著(○○出版)
新聞広告を見て取り寄せたのだが、地方都市でのホームビルダー(工務店)の経営戦略を社長が語っている。
住宅を売る前に土地の手当が大切だと説く。確かに、弊社の顧客も15年前とは様変わりで、30代の子育て世代が多い。彼らは土地なし客なので、時間がかかるのは事実だ・・・。さてさて・・・。
6.「ホンダ神話 <Ⅱ>合従連衡の狭間で」佐藤正明:著(文春文庫)
(Ⅰ)は529ページもあったが(Ⅱ)は373ページ。
自宅で夕方から読み始め、その翌朝起きて再び読み丸一日で一気に読み終えた。
平成2年、4代目社長に入交ではなく、何故暗い男川本に決まったのか当時は理解できなかったが、この本を読みやっと舞台裏が理解できた。その1年後に入交が川本に追い出されセガに入ったのは今でも鮮明に覚えているが、その裏では米GMの上級副社長への就任が決まりかけていたとは。入交自身の決断力の無さではあるが、友人であったボストンコンサルティング社長の堀紘一という男。この男の悪魔のささやきを無視すれば良かったものを・・・。結局セガを去る事になった入交はしかし、生き変える。
他のホンダの役員達は隠遁生活だから人生は分からない。
ホンダの経営手法は「語り継げても受け継げない経営」だから、さらなる発展を遂げるには、自分たちの手で新しい経営手法を編み出さなければならない。
藤澤曰く、「松明(たいまつ)は自分の手で」。
しかし、戦略家の藤澤に技術の天才本田。私達は二人合わせて一人前というのが口癖だったというが、あって25年で世界のホンダに育て上げ、見事に引退劇を演出した藤澤、それに従ったホンダ。
男の生き様だ。
2016年(平成28年)4月
5.「ホンダ神話 <Ⅰ>本田宗一郎と藤沢武夫」佐藤正明:著(文春文庫)
僕は「ホンダ」と「ソニー」という会社が好きだ。
特にホンダの藤沢武夫という人の経営術に心酔する。
この本が1995年に単行本で出版され、その後2000年に文庫本で出版されたとは知らなかった。
ホンダ物の新聞の書評には目を通していたハズだが・・・。
さてこの「I」だけでも529ページもある。自宅で夜、数頁ずつ2-3日読んだことがあったが4月16日の経営計画発表会を終えた翌週の深夜3時過ぎに眼を覚ました時、朝10時過ぎ迄、一気に読み、その後出社した。
昭和24年、水泳の古橋廣之進が全米水上選手権で世界新記録を連発し、湯川秀樹がノーベル物理賞を受賞したこの年、二人は知人の紹介で出会い、藤沢が本田技研工業に25%の資本参加して、共同経営をスタートさせた。
世間では技術の天才本田宗一郎は有名だが、藤沢の経営に関してホンダの従業員以外は、銀行、取引先位にしか名前は知られていなかった。
それは藤沢という男の戦略であり、凄さであった。しかし、藤沢本人は自分のような理詰めの男には社長は務まらない。本田のような欠点がある男がふさわしいのだと言う。
藤沢が仕掛けて二人で共に引退したのが昭和48年10月の株主総会。今でも語り継がれる創業者の見事な引き際だ。
CVCCエンジンの秘話や、後継者達はサラリーマンではあるが、その仕事に対する姿勢。単行本が出たのが1995年だから20年前だ。あの時、この本を読んでいれば僕も、T&Tも変わっていたに違いないと思われる本だ。<Ⅱ>は注文中。
4.「『理』と『情』の狭間」磯山友幸:著(日経BP)
大塚家具の経営権を巡り、創業者である父・会長と長女・社長の争いは日経新聞でも、テレビのワイドショーでも連日取り上げられ、結局、株主総会で長女・社長側の勝ちとなった。しかし、本日(4月12日)の日経で、一族の資産管理会社に15憶円分の社債の償還を求めた訴訟で父・会長側の勝訴判決を下した。
親子の争いがまだまだ続く。
この本は、どの家族経営でも起きる問題として、跡継ぎ、経営と資本の分離、「家業」と「公器」の区別等に欧米の「ファミリー企業」をも実例に出し比較する。
コーポレートガバナンス(法令順守)と言うと難しいが親子がこうも争えるものか・・・。
2016年(平成28年)2月
3.「天才」石原慎太郎:著(幻冬舎)
芥川賞作家で、政治家として世間に知られる石原慎太郎が田中角栄の伝記を書いた。田中角栄を稀有な政治家と評価する小生としては、書店で手に取り迷わず購入し、深夜一気に読んだ。
先ず、驚いたのが田中角栄本人の一人称で物語が進むことだ。まるで、大川隆法(幸福の科学)の霊言集ではないか。
しかし、読み進むにつれ、田中角栄の金銭感覚と廻りの人間を惹きこむ、その人間的魅力の一端が分かる。しかし、あのロッキード事件とは田中角栄を陥れる為のアメリカの策略と、当時から一部で言われていたが…。
時のまさかの総理大臣に法務大臣の巡り合わせが、流石にその時に角栄の運が尽きたのか…。
2.「人生を面白くする本物の教養」出口治朗:著(幻冬舎新書)
著者は、日本生命を退職して、インターネットで生命保険を販売する「ライフネット生命保険」の代表取締役会長兼CEOである。
日本のリーダー層は勉強が足りず、世界でも教養が低いと主張する。本人の勉強の経験を謙虚に語るが、ことばの端々に得意げな・・・!?
しかし、「英語はあなたの人生を変える」には100%肯ける。
それと、「人に会う」というのも僕の「人儲け」と同じことを語っているので共感。
しかし、美術館巡りとか、シェークスピアとか良く勉強をしていること。
1.「社長、御社の「経営理念」が会社を潰す!」白潟敏郎:著(中経出版)
タイトルで逆のことを言いそれで本を売るというやり方は、マーケティングの手法のひとつだが、この本もそうだ。松下幸之助や、ドラッカー、稲盛和夫らが理念の大切さを繰り返し説いている。内容はたわいも無いが、ひとつ役立つことはあった。
まぁ、タイトルに踊らされた僕は策にハマったか。
2016年06月28日 10:11